帆布

 

もう会えないね 今まで楽しかったよ

終わりを急かすように 降車ボタンが赤く点滅している

ずっとずっと長い夢を見てたよう

ついに目覚めてしまったけど

 

春先の冷たい風 片側二車線の道路

嬉しかった赤信号も 今ではただ煩わしくて

俯いて早足で騒々しい街を抜ける

自分の歩幅の小ささに うんざりする

 

あなたの色に染まったままで

元の色なんてもう忘れたよ

もうあなたは違う色でいるのかな

どうか幸せで なんて思えないの

 

土砂降りの日も 雷の日も

どんな日だって 楽しかったの

 

独りよがりだったよ 我慢してたんだね  

本当にごめんね

ないものねだりばかりだったけれど

本当は貰ってばっかりで

今更気づいたよ

花瓶の水が枯れるまで気づかない 僕だから

 

沢山の色を塗りたくって 忘れようとしたけど

濁っていくばかり 疲れていくばかり

色褪せたキャンバスにふたりで描いた色模様

もうきっと塗り重ねてしまったのでしょう

 

やり直せるなら もっとちゃんとそばに居て

僕なりの愛で満たすから

つまらない意地なんて捨てて

くだらないエゴなんて捨てて

あなたの横で眠るから

ふたりの色で描くから